善光園の茶づくり

平成3年の頃、家業を継ぐ
「農薬のこわさ」を体感

高校を卒業後、生協に7年程お世話になり、その時に食品添加物、農薬の危険性を知り、食の大切さに気づかせてもらいました。
そして、31歳の時(平成3年)家業を引き継いでお茶栽培に取り組んだのです。 父や周りの先輩、農協の方などに農薬の事、肥料の事、仕事の手順を聞きながら「良いお茶を作らなければ」と 努力する日々 が続きました。
そんな中、年間に使う農薬の多さにも驚いていました。
ある日、農薬散布をしていて、 「ウッ、気持ち悪い」と吐き気をもよおす事がありました。 「これは危ない。自分がこんなのをあびていたら、いつか病気になるのではないか」と不安になりました。


実際の経験と生協での知識の中から、やはりもっと自然に合った安全 なものを作らなければと思うようになりました

まずは自分と家族の為に
無農薬を目指す

無農薬でお茶を作っている人を知らず、周りからは「農薬をかけずにお茶が出来るわけがない」「経営がなりたたない」
と言われましたが、自分自身が安全なお茶を飲みたい、自然に対して毒を撒きたくないという思いで赤字覚悟でした。


収穫量が落ちたり、時には収穫も出来ないような年もありました。原因は虫や病気にやられてしまったりです。
周りからも馬鹿にされたり、父と母などにも農薬を使えと言われました。


最初の3年位は、夏場の病害虫が発生する時期には我慢しきれず1〜3回農薬をかけてしまいました。考えてみると、農薬と化学肥料で過保護に育てられていたからいきなり自然環境に対応できなかったような気がします。


もともと、お茶の木は野生でも元気に生えています。
今まで農薬、化学肥料で土の微生物を減らしてしまったのだから、まず土の中の自然循環を復活させなければと微生物資材を使ったぼかし肥料を作りました。
EM菌、炭、木酢、たい肥、ボカシ、天然塩、BMW活性水、万田酵素、糖みつ、ニンニク、トウガラシ、ドクダミ、土着菌など・・・
手探りの中、多くの本を読み、勉強会に行ったり、多くの出会いの中、実践を繰り返していきました。


4年目に入り夏場も無農薬で過ごすことができるようになりました。


無農薬5年を過ぎてからカチカチだった畑の土がふわふわ柔らかく変わってきました。
畑にミミズが戻り、土を耕してくれたからです。色々な虫や鳥などが畑に帰ってきてくれました!
無農薬10年目頃には、新茶も問題なく綺麗にとれるようになりました!(*´∇`*)


やっと自身を持って皆様に無農薬、無化学肥料のお茶をお届けすることができ、直販を始めました。
親戚、知りあいなどから北は北海道から南は九州とお客さまが広がっていきました。



平成14年の大ピンチ!

始めはお茶を作れば、お茶問屋・農協に出すと考えていましたが、 H14年に取引先のお茶問屋が倒産という事態になり、お金が入らないという大ピンチがありました。そこから、自分で売るしかないと思いホームページで販売、営業力の無い私たちにはひとりひとり自然栽培のお茶の事を伝えていくしかないとイベントにも参加し、少しずつ売れるようになってきましたが、まだまだです。

平成19年 初めての
ボランティアさんたち

有機・無施肥栽培はいかに自然に近づけるか、作物本来の力を引き出せ るかがとても重要です。「自然ってなんだ?」と考えながら、どうした らお茶の木がストレスなく元気な新芽を出してくれるだろうかといつも 考えています。
そんな中、誰もが抱える悩みが草取りです。草は土にとって、とても大 切なのですがお茶の木が草に覆われて しまうと、日が当たらず成長を止 めてしまいます。一年を通しての草取りは重労働です。
春から夏にかけては一度取っても1ヶ月過ぎないうちに草だらけになる 事もあります。
そこで応援を呼びかけ、H19年の5月、新茶の時に初めて4人の方が 東京から泊り込みでお手伝いに来てくれました。
もともとにぎやかな家ですが、さらに4人の方が来てくれ夜は毎日宴会 のような盛り上がりで楽しかったです。 収穫の空いた時間に草取りもや ってくれましたが、楽しくやってくれたみたいで本当に助かりました。


人との出会いは不思議です。新しい何かを与えてくれます。それから毎年、訪れてくれる皆さんが増えていきました。


現代人はなかなか土に触れることがない生活ですが、こんなときにしっ かり自然の中に身を寄せてもらうことは、とっても必要だと実感してい ます。


また、多くの方が、私達の畑に集っていただくことが、年々衰退してい く慣行農業に悩む周りの農家にも刺激を与え、一人ひとりの意識を変え ていくきっかけになると思っています。



私たちが考える本物の
茶づくり

私たちは家族でビジョンを共有しながら、取引先のみなさん、お客様、応援してくださるボランティアの皆さんの応援に支えられ
25年以上の月日をかけて無農薬で、尚且つ美味しいお茶づくりに挑戦してきました。


同じ志をもつ農家の仲間もいなくて
本当に、試行錯誤の連続でした。


この頃は自然栽培もよく耳にしますし、オーガニックなイベントやマルシェも増えてきて、スーパーでもずいぶんとオーガニック商品を目にするようになってきました。


でも、まだまだ
「無農薬の何がいいの?」「そんな農業、成り立つわけないでしょ?」と聞かれることもあります。


慣行農業のお茶栽培では、農薬を20回以上散布しているそうです。
また、回数を減らしていたとしても、その分、すごく強い薬も増えているそうなのです。


ミツバチが世界中からいなくなっていることで、凄く問題になっているネオニコチノイド成分は
ほとんどの農薬に入っていて様々な栽培で使用されているようですが、お茶栽培は特に多いと聞いています。


受粉を手伝うミツバチがいなくなったら
私たちの食べ物のほとんどがなくなります。それは大問題です。


また、脳をマヒさせる成分があるらしく、人の子供にも影響が出てきているという研究も発表されはじめました。
ヨーロッパ、アメリカ、韓国などでは暫定禁止されている薬です。
なぜ、日本では禁止どころか、どんどん使う方向へとなっているのでしょうか。


お茶に限らずお野菜もお米も、昔からずっとある植物は人の力を借りなくても自分たちで生きていけるはずです。


森の草木も、コンクリートの間で必死に生きている草たちもみんな農薬や肥料なんて使っていません。
とっても当たり前なことですよね。


お茶はもともと、千年以上前に中国から薬として伝わってきた苦い葉っぱでした。
もちろん、農薬なんてない時代です。
そこから苦味を抑えるために粉末にしてみたり(抹茶など)、蒸し方を変えてみたり(浅蒸し・深蒸し)、苦味の少ない品種(今はやぶきた品種が主流)を増やしたりと美味しく飲めるように工夫されて
特に、新芽の柔らかい芽は十分な甘みを出してくれるようになりました。


でも、『甘くてコクのあるお茶が美味しい』という広告宣伝と共に、『更にもっと甘く、もっと早く、もっと沢山』と、戦後あたりから化学肥料を大量にいれるようになりました。
化学的にアミノ酸などを増やして甘みを作り、早く成長させていきます。
葉っぱをぶくぶく太らせるようなものなので、病気にもなりやすいし、甘いものや脂肪分は虫も大好きのようで、沢山、食べられてしまいます。そこで、殺虫剤や病気に効く農薬を使うといった悪循環が始まりました。
一度やりはじめてしまうと、イタチごっこで、農薬に強い虫や病原菌のみが生き残って、またそれに効く強い薬でねじ伏せようとします。どんどん、強く長く効くものを使うようになります。でも、その分、茶の木は自身で栄養を蓄える力や免疫力が低下していき、逆に虫はどんどん強く進化していくのです。


一方、一般の市場では『甘くてコクのあるお茶』という均一の品質を求められるため、その土地、環境に合わせる農法ではなく
最初から農薬や肥料の回数が決められてしまい、その方法でなければ流通させられなかったり、価格が下がってしまったりするので、減らしたくても減らせないまま、
結局市場は、年々安く買い叩かれてしまう状況で、農薬や肥料代が回収出来なくなったりしています。


お茶の木を守るために、また、その農家を守るために使ってきたものが、結果、お茶の木も人間のカラダも自然環境も、
経済的にもどんどん苦しめて、みんなが被害者になっています。


また化学肥料だけでなく有機肥料でさえも、入れ過ぎると硝酸態窒素を過剰に取り込むことになり、やはり自然環境にもカラダにも悪影響ではないかということが言われています。
やはり、
その土地の土や気候に合ったバランスを考えて茶の木の成長を少しサポートするくらいのつもりでいいのではないかと、善光園では年に一回くらいいれる畑があったり、全く入れない畑があるという感じで最小限にとどめています。


昔は化学肥料も農薬もありませんでしたから、昔から普通にみんなあたりまえにやっていた方法に戻しただけなんです。


私たちの考える本物の茶づくりとは、すべての生きものに過剰な負荷をかけないものであり、生態系サイクルを崩さないものであり、人を癒すエネルギーが高く、病気もはねのける力があるものと考えます。
お茶も人間も同じ。自然に元気に育ってほしいと思います。 そのための私たちなりのルールがあります。


◎畑に生えた草は外に持ち出さない


◎土を表層から変えるため土をおこさない


◎畑にあるもの、いるものは必要があって存在する。虫や病気も必要あって出てくるのだから、むやみに追い出したりしない。


◎自然というものは、必ず地球にとってよい方向にむかっているから、むやみに逆らわない。


−畑にやってくる生きものたち−

すずめ・ホトトギス・キジ・カラス・キツツキ・とんび・山バト・か える・くも・みみず・カマキリ・てんとう虫・トカゲ・たぬき・うさ ぎ・ヘビ・カモシカ・いのしし


私たちのビジョン

私たちが有機・自然栽培で農業をしていくことは、目の前の自然環境だけでなく、日本の為、地球の為になる取り組みなのだと自覚しています。


農を知ることは、食べ物を知ることであり、命には限りがあることを知ることになります。
身体は食べ物から出来ています。
食と命の大切さを多くの人と感じ合い、私たちの小さな芽がやがて、大きく広がって、人も虫もみんな持ちつ持たれつで一緒に生きていける昔のような自然環境が戻っていくように目指していきます。
今は少数派なんで凄く特別!って感じにとらえられちゃいますが、もっと無農薬のお茶も増えるといいなぁ、と思います。
身近な出来ることからでいいのでそういう農家を応援してください!
みなさんと共に幸せなサイクルに戻していきたいと思っています

茶づくりの1年

  • 1月草取り

    草取り
  • 2月草取り ならし

    草取り ならし
  • 3月草取り

    草取り
    新茶の芽が膨らみ始めます
  • 4月草取り 一番茶

    草取り 一番茶
    新茶の芽が伸び始め、木全体の色が変わってきます。
  • 5月草取り 一番茶

    草取り 一番茶
    新茶の芽
  •  

    草取り
    新茶の手摘み
  • 6月草取り 二番茶

    草取り 二番茶
    2番茶の芽が出掛かったところで虫が大発生したことがありました。でも、ちゃんとクモが虫をとるため茶の木にクモの巣をはっていました。
  •  

    草取り
    虫に負けずに立ち直り、大きく成長した茶の木
  • 7月草取り 二番茶 紅茶

    草取り 二番茶 紅茶
  • 8月草取り ならし

    草取り ならし
  • 9月草取り

    草取り
  • 10月草取り 秋番茶 ならし

    草取り 秋番茶 ならし
  • 11月草取り

    草取り
  • 12月草取り 有機肥料

    草取り 有機肥料
    夏草(縦に伸びる草)から冬草(横に広がる草)、ハコベや仏の座などに変わりはじめます。
  •  


    冬に1回だけ有機の肥料をいれています。

有機の認証について

有機の認証について

2001年4月1日から法制化された有機の認証についてご存知でしょう か? 農林水産省による食品のJAS表示は「有機栽培」などの「有機」を使 った農産物は国の基準を通ったものにしか付けてはいけない。守らなけれ ば罰せられるというものです。
何十万と掛かる検査費用や検査官の交通費、宿泊費など全部農家持ちです 。周りを見ても地道に無農薬茶を作っている仲間はリスクの方が大きくて 、苦しい経営状態です。
これだけ大きなお金を毎年負担していくのは容易なことではありません。 お金のかかることなので迷っていましたが、販売の7割をお茶問屋さんを 通して販売している我が家は、問屋さんとも相談をして有機の認証をとる ことにしました。しかし、費用面で大変なため、本当に信頼している仲間 の人達とグループを作って、みんなで負担し合うことにしました。
私達はこの認証を決して錦の御旗にするつもりはありませんし、現実問題 、無農薬だからといって高く売れるわけでもありません。でも、認証を取 ることによって、一般のお茶とは混ぜられないで、消費者のもとへ届くこ とになるのです。